2006年 10月 04日
一般質問 その3「トータル的な子育て支援」について
昨年、鷲宮町次世代育成支援行動計画が策定されましたが、子育て支援という言葉はそんなに昔からあった言葉ではありません。

現に現在18歳になる長女が生まれ、私が東京で共働きをしていた頃そんな言葉はありませんでした。男女雇用機会均等法が出来たばかり、会社には子供を生んでも働き続ける先輩社員もいませんでした。
実家の親は働いていて忙しく、「里帰り出産」なんて思いもよらないことでした。ほとんどの民間会社にはまだ育児休業という制度がなく、産休が産前産後6週から8週に伸びて間もなかった時代です。フルタイムで働いていたため、当時住んでいた近所に知り合いも友達もいません。越してきて1年、ほとんど寝に帰ってくるだけでしたので、地域のことは何も分からない。病院の場所も保育所の場所も、なにもわかりませんでした。
赤ん坊が生まれて退院してアパートに戻った日から産休明けまで、ほとんどを家の中で赤ん坊とふたりきりでした。深夜に夫が帰宅するまで丸1日、誰とも話さずに過ごすこともありました。今思えば、そのときは意識はしていませんでしたが、まだ22歳、子どもみたいな「おかあさん」の密室での孤独な子育てだったと思います。

しかし、孤独な育児を孤独と感じる間もなく産休は明け、8週で復帰するために、未認可の保育室へ子どもを預け、職場に復帰しました。毎朝、まだクビの据っていない赤ん坊をオンブヒモで体にくくりつけて自転車をとばし、保育室に預けてからラッシュの電車に飛び乗って会社に向かいました。若かった私は、この未認可保育室の保母さんたちから、沢山の支援を受けて子育てすることになります。いろいろと分からないことやコツなどを教わったり、仕事の愚痴を聞いてもらったり、近所の小児科、皮膚科、眼科を教えてくれたのは彼女たちでした。ゆっくりとゆっくりと母親に成っていくことを許してもらえる、母親になれる学習のできる大切な場所でした。
私が子どもを虐待せずに育ててこれたのは、その経験があったからだと思っています。

数年後、仕事を辞めて実家のあるこの鷲宮に引っ越してきましたが、しばらくぶりに帰ってきた鷲宮で、イチから地域で子育てを始めた私は、とても戸惑いました。近所に知り合いがいないのです。子どもを遊ばせる場や、子どもを介して母親同士が知り合うような場、用は無いのにちょっと出かけるところが本当に少ないのです。朝早く出、夜遅く帰宅する夫以外、何日も誰とも話さない日が続く、大人と話さない生活が戻ってきたのです。

今もきっと「大人と話したい」と思って子どもと2人でいるお母さんが、この町に何人もいるはずです。15年前の子育ては、今より制度は充実しておらず、「専業主婦の孤独な子育て」を理解する人はほとんどいませんでした。児童手当も一銭も出ず、行政は措置児しか見ていませんでした。行き場はどこにもありませんでした。

幸いなことに、第2子に恵まれた頃、親子とも毎日会っておしゃべりしたり、遊んだりしても飽きないような友達がたくさんでき、母親同士、いっしょに子育てする仲間ができました。子どもは子ども集団で遊ぶ中で様々なことを学び育ちゆきます。それを見ながら、母親たちは『他人の子どもも、ちゃんと叱れる、コワイおばちゃんになろう』話し合ったものでした。
この経験がよりどころになっていて、私は「子育て支援」「子育て支援」と言っているのです。

育児のノウハウを教える月刊誌が何種類も出版されているのをご存じと思いますが、それは単なる育児情報誌ではなく「子育ての喜び、苦しみ、悩みの共有」という部分が大きな柱になって…そういう小さなことを話す場が身近にないから、このような雑誌が何万部も売れているのだと思います。

子どもを遊ばせる公園などから自然発生的に形成されていた母親同士の子育てコミュニティさえ、今や生まれづらくなっています。さきほども述べましたように、私は偶然知り合った子育て仲間がいて3人の子を育ててきました。子を介した知人友人が沢山できて、親子ともにとても助けられました。あれがなかったら、核家族での子育ては相当に孤独で苦しかったろうと思います。当然、子どもだってしんどいのです。今はそんな子育てコミュニティを持てないで苦しんでいる人が多くいるみたいなのです。

子育てコミュニティを作る手助けが必要です。働いている親にも、働いていない親にも、必要なんです。そして子どもは親を選べません、親が働いていようと、働いていなかろうとそれぞれの状況に応じた子育て、そして子育ちの支援がされなくてはいけないのではないでしょうか。それは、単なるバラまきではなく、考え抜かれた支援策であるべきだと考えています。

ご存知の通り、今少子化が進んでいます。国も自治体も「少子化が続けば日本の先行きは危うい」とおっしゃいます、年金制度が危ういというのが本音なのかもしれませんが「では具体的に何をするか」と問われると「財政状況が厳しい」「出来る範囲で」程度の取り組みではなかったでしょうか。
少子化社会対策推進専門委員会報告書「これからの少子化対策について」が発表されましたが、その中でも「孤立した子育てによる不安感や負担感の解消のためには、親子が気軽に集える場所としての、つどいの広場等の事業が重要である。また、保育所による一時預かりやファミリー・サポート・センター等の事業の拡充が必要であるが、現行制度では、担い手の不足、制度の構造的な問題、利用者負担などから制度が十分に機能していない。」また「最初の子どもをもつときに良い経験をすること、たとえば仕事をやめなくてすんだ、あるいは安心して生み育てることができた、という経験が、2人目以降の出産につながると考えられる。また、少子化対策として、焦点をしぼるとすれば、子どもが10歳頃までの間に重点的に支援を行うこととし、特に3歳未満の子どもの85%は在宅で育児が行われていることから、いわゆる専業主婦の家庭も含め、在宅の子育て支援に対しても集中的に施策を打っていくことが重要である。」と指摘されています。

なのに、聞こえてくるのは「今の子供は問題だ」「今のおかあさんたちは問題だ」ばかりです。いったいどう育てたらいいのかと途方に暮れ、子育てが不安になるのです。
「早寝・早起き・朝ごはん運動」というのがあります。このキャンペーン、理想的な朝食も当然ありますが「まずはどんな形でもいいから朝食を摂りましょう」と言っているようには聞こえない。「あるべき理想の朝食」を摂らせせましょう、「そういう朝食を摂っている子は成績もいいです」なんてデータを出してきたりするんですから。子育て中の家庭は、もっとしっかりしなさい、というキャンペーンに受け取れます。

子どもに生活のリズムをつけさせること、栄養を考えた食事を家族そろって食べることが大切だと、社会全体が本気で取り組んでいるなら、たとえばテレビの放映の仕方も、コマーシャルも、コンビニやファミレスの営業の仕方も、企業の働かせ方も、もっと変えてもいいのではないでしょうか。これだけ24時間営業の社会にしておいて、家庭だけに正論をぶつけ、すべてをたいがい母親の責任にするのはどうなのでしょうか。
社会や経済のことと無関係に家庭のことは語れなのです。父親が朝6時・6時半に出て行く家庭で、一緒に朝ごはんですか? 父親が帰ってくるのは、11時12時で一緒に家族揃ってご飯ですか。早寝早起きをしなくてはいけないんですよ。
母親が看護士で、夜勤があるのに「手作り愛情弁当を作りなさい」とおっしゃいます。
私たちは食べるために生きているんではないんです、生きていくために食べているんです。

今日の子育て・子育ちの困難は個々の家庭の考え方だけでは自由にならない、社会的背景があります。しかし家庭教育のあり方を一方的に位置づけ、その基準で家庭を評価し、親の責任を想定していないでしょうか。「あるべき姿としての家庭の子育て」について語り合うことが父母・住民の間では、なされてよいし、そうした討論から相互に学び合うことは重要です。しかし、上からの「あるべき理想」の提唱では家庭や地域の教育力の回復を図るのは困難ではないでしょうか。
様々な法律が出来ても、世の中や私たちの生活は、長い期間がなくては変化が起きないのではないでしょうか。

安心して子どもを産み健やかに育てることと、働くことが矛盾なくできる社会こそが理想です。しかし残念ながら、まだまだ日本の社会(企業)はそういう理想から遠い。今や、女性の雇用は私が勤めていた頃よりも更に流動化しています。
派遣社員という制度が広がりました。派遣の人たちには、産休も育休もありません。働かなければ、食べていけないのに、子どもを生むことが失業に直結するのです。夫たちの雇用環境もまた、妻が専業主婦の座にすわっていられないほど不安定になりました。いつリストラの対象になるか分からない、ローンを抱えているのに賃金は下がって行く、子どもが育つにつれて教育費は膨らむ。そういう厳しい状況に置かれている人は少なくありません。
社会全体に不安定化・多様化する雇用形態が広がっているのに、子育て家庭にだけは「昔ながらの立派な早寝早起き家族」を強いるというのは、どう考えてもムリがあります。
では今、自治体に出来ることは何でしょうか。
いま、目の前にいる子どもたちに「何が必要か」を真剣に考え、環境を用意するために動かなければならない時ではないでしょうか。

子育て支援政策は、福祉・保育政策が中心に行われてきたように思えるますが、本来は全体的な広い視野にたって事業を展開することにこそに意味があり国連が提唱する「子どもの最善の利益」にもつながると考えます。
鷲宮町に育つ全ての子どもたちが「心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される」ために行政の「子育て支援」が非常に重要だと思います。「親が悪かったから、運が悪かった」とあきらめるしかないと言うことが無いように、親と子に何が出来るのか。親を甘やかせているなどといわれない、本当の子育て支援がなんなのか、どうお考えでしょうか。

昨年、次世代育成支援の行動計画が出来上がり、子育て支援はそれに沿って実行されていくわけですが、進む地方分権の中で、ますます地域格差が広がるのではないかと心配しています。地方の弱小市町村になればなるほど、人材が足りない。財政は逼迫していて、思い切った改革が出来ないといった状況が聞かれます。子ども・子育ての施策はこう進めるといった明確な方針を示していただきたい。何をよりどころに次世代育成行動計画に沿って子育て支援していくおつもりなのかお伺いしたいと思います。

8月26日越谷市の越谷コミュニティセンターで行われた、「知事と とことん語ろう 埼玉タウンミーティング」に参加してきましたが、ゲスト講演の文京学院大学教授、発達心理学が専門の柏木恵子氏は「今、子育てをどうするか」という講演の中で、「母親の育児不安は、多くの女性が離職し、その上配偶者の育児支援を得られないことに要因がある」と指摘され、「育児だけでは人間として育つことがおろそかになってしまう」と話していらしゃいました。
県民代表者との意見交換では、越谷のNPO子育てサポーター・チャオの雲雀さんが「子どもを生むまで、一度も赤ん坊に触ったことの無いまま親になる人も多い、すぐに親になれるわけではない。埼玉は核家族も多い。生んでから少しずつ親になれるように子育て学習の場が必要」との話していたこと、知事は子育て支援に対し「県としても市町村のさまざまな取り組みに対し、可能な限り支援していきたい」と語ったことを付け加え、当町における子育て支援に対する所見を町長にお伺いしたいと思います。

子育て支援の2番目、「子育て支援の係り体制の強化について」最後に質問いたします。

子育て環境の底上げをし、親が余裕をもって子どもと接することが出来るようになり、子育てが楽しいと思えるようになることが、結果的に虐待する親・される子の発生を防ぎ、「すべての児童が、心身ともに、健やかにうまれ、育てられ、その生活を保障される」ことになると私は考えます。住民に出来ることはやり、出来ないところは行政や専門家に委ねる、子育てコミュニティで解決できるような仕事に専門家が労力を取られることなく、それぞれがそれぞれの施策を形にし、更に推進していくためには、担当の職員がどうしても必要です。現在、「子育て支援」、ゆるぎない思い持った担当職員を置いてくださり、魂を込めた子育て支援策が展開されることを期待していますが、そのお考えを伺います。
質問は以上です。



<答弁>

福祉課長の針谷です。2番大谷議員のご質問にお答えをいたします。
鷲宮町次世代育成支援行動計画が策定され、住民との協働事業も行われるようになり、当町の子育て支援も少しずつ推進していることについての、職員体制の強化が必要と思われる、質問にお答えをいたします。
次世代育成支援行動計画は、各課子育て事業の充実を図って推進をしています。
特に、この計画の重点的な取り組み3つございまして、一つとして、子育て中の保護者に役立つ情報の提供を実施しております。二つとして、地域活動やボランティア活動の促進では、児童館・保育所・中央公民館などへの事業にボランティアとしての参加と各子育て支援事業の子育て広場・子育てサポーター養成講座・子育てリフレッシュ講座などで、託児所協力としてボランティア活動をいただいて企画・運営など町と協働で町の事業を協力いただいております。
次世代育成支援行動計画をふまえ、町長からもお話がありますように、安心して子どもを生み、健やかに育てられることができる町をめざしていきます。
今後、この事業を推進するために、住民や団体のみなさまと協働で進めていきます。ご質問の担当職員につきましては、課内で話し合い積極的に子育て支援が展開できるよう努めてまいります。



<本多町長答弁>

2番、大谷議員の子育て支援についてのご質問にお答えいたします。
現在、我が国は世界に例を見ない急速な少子化の進展という事態に直面をしており、合計特殊出生率も低下を続けております。
こうした少子化の進行は、社会保障や経済構造の観点からも、我が国の将来にかかわる重大な危機であり、国や県だけはなく、町といたしましても全力で取り組む重要な課題であります。
この日本全体の大きな問題である少子化を改善していくためには、様々な要因について、それぞれ対策を講じる必要がありますが、その中でもご質問の子育て支援の対策は、特に重要な課題であると認識をしているところであります。
そうしたことから、町といたしましては、国や県とは違った住民ニーズにあったきめ細かな子育て支援を展開していくことが重要と考えております。
ご承知のとおり、町では昨年3月に子育て支援策をより具体性と実効性のあるものとするため「次世代育成支援行動計画」を策定し、「子どもの笑顔と活力があふれるまちづくり」を基本理念として、子育て支援に取り組んでいるところでございます。
具体的には、子育て家庭における仕事と子育ての両立を支援するため、一時保育促進事業や休日保育促進事業などの保育事業や、経済的支援を行う児童手当支給事業を行っております。
また、子育てに不安や負担を感じる親が増加していることから、「子どもと保護者の支援」のために、子育てネットワークの支援のほか、子育てサポーター養成講座や、本年度より新たに子育てリフレッシュ講座を開催し、地域における子育て支援体制の充実に努めているところでございます。
そうした中で、子育て支援の為のボランティア団体が熱心に活動されておりますことは、協働によるまちづくりの観点からも、誠に心強く感じているところでございます。
ご質問の「今後の子育て支援の私のビジョン」でありますが、町といたしましても現状のなかで、議員ご指摘の「全ての子どもと保護者の支援」を踏まえ、出来る限りの対策を進めて参りたいと考えております。
また、これまで町では環境整備や個々の財政的支援を中心に施策を展開して参りましたが、今後は、地域全体で子育てを支援する仕組みや取り組みが必要ではないかと考えております。
埼玉県においても、様々なそうした取り組みを行っているようでございますので、それらも参考にさせていただきながら、研究をして参りたいと存じます。
ちなみに8月の26日に越谷市で行われました講演につきましてはですね、町から助役が参加をしてですね聞いております。わたくしの方は防災訓練がありましたから、ちょっと行けませんでしたけれども、内容は把握をしております。
今後もですね、安心して子どもを生み、健やかに育てられることができる町をめざし、総合的かつ効果的に子育て支援の取り組みを、町の皆さんとともに進めて参る所存でありますので、どうかご理解をしていただきたいと思います。
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by ootani-kazuko | 2006-10-04 20:32 | 議会報告


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